釈迦の教えは「感謝」だった
悩み・苦しみをゼロにする方法
小林正観

釈迦の教えは感謝だった

人は、なぜ悩み、苦しむのか?
その答えは、「般若心経」にあった。
それは、「受け容れる」ことだった。
子供が勉強しない……受け容れる。
子供が不登校になった……受け容れる。
上司が厳しいことばかり言う……受け容れる。
夫が病気になった……受け容れる。
受け容れず、現象のほうを「思いどおりにしたい」と思った瞬間から、悩み・苦しみが始まります。
釈迦が言った「苦」とは、「思いどおりにならない」という意味でした。
だから「思いどおりにしよう」とするのをやめ、「受け容れる」。
誰のためでもない、自分のためです。
「受け容れる」ことをずっと高めていくと、「ありがとう」と「感謝」するまでに至る。
釈迦の教えは、結局、「感謝」につながっていたのです。

発行年月日:2006/4/25
サイズ:四六版ソフト製
ページ数:224
コード: ISBN4-938939-42-8

定価:(本体1,429円+税)

本書の内容

[第1章] 人間をじいっと観察してきた
[第2章] 人はなぜ悩み、苦しむのか
[第3章] 「苦」とは、思いどおりにならないこと
[第4章] 「般若心経」は難しくない
[第5章] 受け容れる
[第6章] 有り難し
[第7章] 人は、喜ばれると嬉しい
[第8章] 宇宙を味方にする
[第9章] 釈迦の教えは「感謝」だった

相談ごとの内容が変わった

私は大勢の人から人生相談を受けてきたのですが、20世紀の最後の頃から、
相談ごとの様相が変化してきました。
「夫が酒を飲んで夜12時以降にしか帰ってこない。どうしたらいいか」
「子供が不登校になってしまった。どうしたらいいだろうか」
「舅姑が気の荒い人で、私に対してひどい言葉ばかりを投げかけてくる、
こういう場合、どうすればいいのか」
「隣の住人が植木の問題について、いろんな難癖をつけてくるが、どう対処したらいいか」
「叔父叔母がケンカばかりしていて仲良しではないが、この人たちを幸せにしてあげたい。
どうしたらいいか」
その内容は、自分の問題以外の問題、
「他の人たちをどうしたら、どうして上げたらいいだろうか、どのように変えたらいいだろうか」
というような質問が多くなったのです。
別の言い方をするとほとんどの質問が、
「どうしたらこの人たちを、自分の思いどおりの価値に持ち込むことができるか、
どうしたらこっちに連れてくることができるか」
というものになっていったのです。

お釈迦さまの対応

お釈迦さまは、その人本人のことを持ち込まれた場合は、懇切丁寧に、
親身に相談に乗ってあげたそうですが、
「他人の問題を持ち込まれた時には、黙って目を閉じ、
結跏趺坐して瞑想に入ってしまったそうです」
これはおもしろい話でした。
目を開かされた気がしました。
「なるほど、お釈迦さまもそうお考えだったのですか……!」
と納得したのです。
「ああ、もしかしたら、悩み・苦しみとは、思いどおりにならないこと、という意味ではなかったか……」
「はるか昔、二千五百年も前に、お釈迦さまはそのことをちゃんとご存じだったのですね」
と納得したのです。

四苦八苦

お釈迦さまは、人間の「苦」を、ちゃんと概念規定していました。
その「苦」「四苦八苦」と名づけました。
生・老・病・死――これが「四苦」。
五番目――「愛別離苦」(あいべつりく)愛する人と別れなければならない苦しみ。
六番目――「怨憎会苦」(おんぞうえく)怨んで憎んでいる人と出会わなければならない苦しみ。
七番目――「求不得苦」(ぐふとくく)求めても得られない苦しみ。
八番目――「五蘊盛苦」(ごうんじょうく)五つの感覚が盛んに働くことで生まれる苦しみ。
これが「四苦八苦」です。
最初の「四苦」は、宿命。宿っているものだから変えられない。後の「四苦」は日常生活にからむことだから、変えられる。二つに分けたのです。
そこに共通するのは、「思いどおりにならないこと」です。

じゃあ、どうすればいいか

「子供が不登校になった。
では、受け容れればよいではありませんか」
悩み・苦しみは、受け容れた瞬間から消滅するのです。
その事実をいかに受け容れるか、その一言に尽きます。
受け容れた瞬間から、悩み・苦しみはなくなってしまうのです。
いま話題の小林正観さんが読み解く、もっとも突出した「般若心経」!
「そうか、なるほどそうだったのか……」
「こんな簡単なことだったのか!」
と合点がいきます。

-本文より抜粋

著者略歴

小林正観(こばやしせいかん)

心学研究家。コンセプター。心理学博士。

1948年東京深川生まれ。
中央大学法学部卒。
学生時代よりESP現象、超常貌象などに興味 を抱き、旅行作家のかたわら研究を続け、今日に至っている。それ ぞれが喜ばれる存在になろうと、「嬉しい」「楽しい」「幸せ」の頭文 字をとった「うたし会」を主宰(宗教者の集まりではない)。コンセプター(基本観念の提案者)として、「ものづくり」「人づくり」「宿づくり」「町づくり」などに関わっている。