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風雲斎のひとりごと No.19 (2009.7.22)
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月がふたつ見えるか
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何事も急テンポでくるくる変わる時代ですからもう旧聞に属
することですが、カエルやオタマジャクシが空から降ってきた
というニュースを聞いて、おやと思い当たるものがありました。
このニュースを耳にして、村上春樹の「海辺のカフカ」という
小説をぱっと思い出した人は、なかなかの村上春樹ファンに違
いありません。

というのは村上の「海辺のカフカ」という小説の中に、東京・
中野区の商店街にアジやイワシが降ったり、富士川サービス
エリアで大量のヒルが地上に落ちてくるという、カエルやオ
タマジャクシ事件と同様のくだりがあったからです。
小説では、その事件はナカタさんという、子供の頃に記憶を
失ったおじさんの力によるものとされているのですが、
村上春樹がよく描く、非日常的な情景が現実化するという事例
の一例です。
僕は、カエル事件を聞いて、「海辺のカフカ」を連想し、
「お、いよいよ来たな」と感じました。

村上春樹といえば、新作「1Q84」が大ヒットです。
この作品のなかに「月がふたつ見えるか」というキーワードが
出てきます。この小説の主人公二人(青豆と天吾)にとっては、
ある情景に達すると「月がふたつに見える」のです。(なぜそう
なるかは、小説を覗いてください)。
村上は、現実と非現実の境界がどんどん消え失せて、今は
「なんでもあり」になっているからと文中で説明しています。
村上のこの比喩を読んで、僕はお月様がでている晩には、
その数を確認するようになりました。幸か不幸か、僕にとって
お月様はまだひとつしか見えません。
ある情景に達していないのでしょう。

非日常的な情景が現実化する――というのは平たく言えば、
あり得ないことが現実になる、といったほどの意味でしょう。
ある研究者は、そういう現象に共通する核心を「超越性」と呼
びます。彼によれば、村上春樹も親鸞もユング先生も、超越性
というテーマに心を奪われ、そのことを問い詰めずにおられな
かった思索者、だそうです。ここがわからないと、人生やこの
世界が理解できない、という立場です(研究者のこの論考は、
たぶん来年ごろ上梓する予定です)。
僕もこの超越性というテーマに興味津々で、振り返ればそんな
関連の本をたくさんつくってきました。

ちなみに親しい文芸関係の仲間に「1Q84」評を聞くと、あまり
芳しくありません。エンタテイメントを駆使して人気を得ている
というのです。
そうだとすると、ノーベル賞にもノミネートされているという
村上の海外での評価はなんなのでしょう?
僕にとって村上は、この超越性という不可思議な領域を追い求め
ている作家です。超越性という不思議な世界、超越性という巨大
な壁に向かってかじりついている作家――それが国や人種を超え
て評価されている理由ではないかな――と思います。

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「幸せになろう!」という本
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それはともかく、非日常的な情景が現実化するという現象がぼち
ぼち日常的に起きている、僕はいま、強くそう感じます。奇妙な
シンクロニシティが起きたり、何かが耳に聞こえてきたり、不思
議な夢が続いたり、思わぬお金が転がり込んできたり、空が異様
に澄んでいたり――。

チャネラーと呼ばれるある知恵者に聞くと、アジやイワシ、カエ
ルやオタマジャクシが空から降ってきたり、お月様がふたつ見え
たり、そんなことは「不思議でも何でもない」のだそうです。
そんなことは大昔から良くあったし、だいたい、鉄が固い、綿が
柔らかい、鳥が空を飛び人間が飛べない、時間が過去から未来に
流れる――こんなことは人間どもが勝手に信じ込んでいる仮の
ルールに過ぎないのだそうです。そういう集合意識の枠組みが
がたがたと崩れてきているので、こんな非日常的な出来事は、
今後もっと増えるだろうと。

チャネラーの名前は、ジュネシーン(ペンネーム)さん。
学説や理論に頼らず、ただひたすら自分の経験だけで、18年間も
1万人もの人々の「潜在意識解読」を行ってきた美人のセラピスト。
「潜在意識」と聞くと、なにやらおどろおどろしく、日本では成
功哲学とか金儲けのための方法論と特化されてきた気配があります
が、どっこい、そんなやわなモノではありません。
「超越性」同様、ここがわからないと、人生もこの世界も見えな
いような決定的なポイント――というのが僕の感想です。

3年ほど前から僕はジュネシーンさんにつきまとい、あなたの思
いのありったけを語ってとせっついてきたのですが、それがやっ
と実を結びました。
「幸せになろう!」
―心にそう決めると「潜在意識」が動き出す―
という一冊(46並製・1575円)が完成しました。
7月下旬に発売されます。

非日常的な情景が現実化する――ジュネシーンさんの世界もやは
りそうでした。時間、空間、前世、魂、ツインソウル、空間移動、
夢――へえ、こんなことがありか?!という楽しい世界でした。
ぜひ覗いてください。
詳しくは http://www.fuun-sha.co.jp/

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「光の草」という文学書
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風雲舎にはしては珍らしいのですが、今月は文学書がでます。
成田守正著「光の草」(46上製・1680円)という一冊です。
光と救済の文学、とでもいうのでしょうか。
彼の師匠にあたる勝目梓さんの評を添えておきます。
「沈潜する生の悲哀が静かに発光し、救済をめざしてゆるやか
にうねっていく文体に、私は心を動かされた」
ホンモノの文学好きのかたはどうぞ。
詳しくは http://www.fuun-sha.co.jp/

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風雲斎 2009.7.22