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   風雲斎のひとりごと No.13 (2008.3.28)
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このメールマガジンは、これまで風雲舎とご縁のあった方々に発信しておりま
す。よろしくご一瞥下さい。
なお、ご不要の方はお手数ですが、その旨ご一報下さい。
送信リストからはずします。

去年末から一冊の本にかかりっきりで、メルマガはすっかりご無沙汰でした。
かかりっきりの一冊『さあ、出発だ!』という本が、やっとできました。
こんな内容です。

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『さあ、出発だ!』という本
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「エンジンがかかる。2台とも。シリンダーは規則正しく、ドッドッドッと安
定したリズムを刻んでいる。僕たちはアウトバーンに入り、120キロに加速
する。さぁ、出発だ! ケルン北地区の高層ビルがうしろにぶっ飛んでいく。
右側から追いついてきた車の運転手が窓を開けて叫ぶ。「お~い、どこまで行
くんだ?」 「日本!」
僕はどなり返す。一瞬、男は笑い、もう一度僕を見て首を横に振る。なんとで
も思うがいい。やっと目的地を口にした。そうさ、僕らは本当に日本をめざし
ているんだ」(本文より)

●こんな調子で、オフロードバイクにまたがり、東京を目指して、ケルン(ド
イツ)から東京に旅立ったのは、クラウス(23歳)とクラウディア(20歳)のふ
たり。10ヶ月の特別休暇をもらい、長駆インドまでたどり着きますが、ここで
考えががらり変わります。1日何百キロ、予定はこれこれ――なんていう急ぎ旅
はやめよう。その土地、そこの人間、「いま、ここ」を楽しもうと。インドの
何かがそうさせたのです。結局、彼らは会社に退職届を出し、16年かけて世
界を一周することになります●むろんパック旅行でもお仕着せ旅行でもないから、
ぜんぶ自分の責任。従って危険もいっぱいです。トルコでは追い剥ぎに襲われ、
イランの砂漠では危うくミイラになりかけ、中国では、バイクで走り回るなんて
許さないという警察相手に追いかけっこ。事故もたびたび。監獄にぶち込まれ、
グリズリーやライオンとの遭遇する場面も。ユーコン川の難所越えでは命が縮ま
る思いを経験し、アフリカの大地を無我夢中で駆け抜けます。
こうして25万キロ(!)を走ったのです●なぜかって? 楽しかったから! 
誰かに命令されてやっているわけじゃない。時間だってエネルギーだって、自分
たちの好きなように使える! 困ったことがあれば知恵で切り抜け、体制とは関
係のないごく普通の人々の助けを借りました。土地の景観、奇観もすばらしかっ
たが、やっぱり人間がサイコーでした。あいつやこいつを思うと涙が出てきます。
人間はなんてすばらしいんだろう! 最大の贅沢は、大自然のなかで生きること、
地球の最も美しい場所にテントを張ること。そうしてふたりは心のなかに自由を
増やしていったのです●そうです、たぶんこの一冊が言いたかったのは、夢は追
っかけてみるもんだ。夢は夢じゃなくなるのだから、というようなことじゃない
かな……。

主人公もタフなカップルですが、この翻訳者も相当タフな人。3年前、オースト
リアから、元気のいい若い日本人女性がうちにやってきたことから始まりました。
原書(独語)持参で、どうしても風雲舎から出版したいと。さあ、タイヘン。大著
の翻訳は初めてだという彼女。たたいて、のばして、丸めて――。それにしても
彼女は頑張った。読めるものになったのだから。タフで、優秀で、饒舌な彼女。
僕はいつも洗濯ばさみを必携しろと怒鳴っていました。

彼らの走行経路の後付け、Google Earthをはじめて使い、世界地図と首っ引き、
都市や土地の呼び名の確認、写真整理、校閲に校正――先輩や仲間の力を借りまく
ったのですが、寝ても覚めてもこいつが待っていた。風邪が気管支炎を超え肺炎寸
前。花見もゴルフもなし。かみさんと約束した海外旅行もぶっ飛んだ。なぜかって?
若いバイク野郎と書物のなかで一緒に旅するのが楽しかったから。

まあ、そういうわけで、よかったらご一読下さい。
文中に79枚の写真を入れました。これがいい迫力を出しています。
●この本は4月はじめに本屋さんの店頭に並びます。
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          『さあ、出発だ!』
      ……16 年かかったバイク世界一周 ……
    クラウディア・メッツ+クラウス・シューベルト著
           スラニー京子訳
 46並製480ページ 定価(本体2000円+税)4月初旬発売
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●バイクを思うさまぶっ飛ばしたい人、冒険野郎、そしてなによりこの人生にウン
ザリしている人向きです。                         
●この本の情報はインターネットまたは携帯電話でご覧になれます。
  http://www.16nen.com でカラー写真がたっぷり見られます。
●風雲舎の紹介サイト、ご購入はこちら http://www.fuun-sha.co.jp/

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                           風雲斎 2008.3.28