風雲斎のひとりごと No.11(2007/11/19)

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加島祥造さんと帯津良一さん
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加島祥造という僕の好きな84歳の詩人がいます。
詩人にして、ヘミングウエイやフォークナーを翻訳した英文学者、大学教授です。
ずっと西洋を向いていたのですが、ある時、英語版で『老子』を読み、こんなすごいやつがいたのかと驚きます。そこから老子に入りました。以来ずっと老子に向き合い、そこを経て東洋に回帰した人です。『求めない』といういま評判のストセラーも、その営みから紡ぎ出された作品でしょう。

加島さんのご友人に中野孝次という作家がいましたが、この人も西洋から東洋に回帰しました。大工で質実剛健、一本気な父親の放つ、北関東(益子あたり)の文化がいやでいやで、この文化圏から脱出しようと勉学にいそしみ、ドイツ文化を経て西洋を知るのですが、後年、やはり東洋に戻ります。『麦熟るる日に』『ブリューゲルへの旅』、それに加島さんのとの対話(『五十歳からの生き方』所載)などは、飯も食わずに読んだものです。

帯津良一さんも、ある意味、西洋から東洋に回帰したお医者さんです。
西洋近代医学をきちんと学ぶのですが、どうにも納得できないことが多く、中西医結合――中国医学と西洋医学との結合を目指し、やがてその統合――ホリスティック医学へと向かいます。勉強好きの博覧強記、毎朝欠かさず気功にいそしみ、夕べには酒精をこよなく愛する、何より高い徳を求める御仁です。

僕は5年ほど前に加島さんの詩集やご本を読んで以来、その心や暮らしに魅せられ、伊那谷のご自宅に通い詰めました。もう10回ぐらい通ったでしょうか。もちろんうちにも一冊書いて下さいという下心があってのことです。加島さんは悠々たるもので、そんな僕の願いなどはこれっぽちも気にもせず、もっぱら碁です。僕はかつて5段を自称していましたが、同じぐらいの力量です。だから勝った負けたと大騒ぎするのです。『求めない』も『老子』も、この部分については、ただの人の子、一人の碁仇です。

ある時碁を打ち終わって雑談中に、帯津良一さんの名前が出ました。
加島さんは読んでいるというのです。
へえ、帯津先生ならぼくの酒飲み友達です。
対談はどうでしょうかということになりました。
まあ、そんな具合で一冊の本ができあがりました。

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『静けさに帰る』という新刊
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加島先生の『求めない』(小学館)が36万部のベストセラーだそうです。
《求めない――すると、何かが変わる》
というフレーズで始まるこの詩集は、老子的な暮らしから生まれた”気づき”に満ちていて、読む者の胸に迫ってきました。
きみたち、何をそんなに求めているの
もう充分持っているじゃないか
求めないと楽だぜ
――といった加島語録のひとつひとつにハッとさせられます。

それを当て込んだわけでもないのですが、
『静けさに帰る』
という一冊が後続します。
『求めない』をずっと突き詰めていくと、『静けさに帰る』のかもしれません。

2年越しの対話です。
どんな本かというと、次のようなパートに象徴されます。

それは静けさにもどることだ
水の行く先は――海
草木の行く先は――大地
いずれも静かなところだ
すべてのものは大いなる流れに従って
定めのところへ帰る。
(そして再び甦るのを待つ。)
(『静けさに帰る』――老子第16章より)

テーマは、人はいかに生きるのか――そういうものでしたが、落ち着いたポイントは
「静けさ」でした。まったく違った道を歩んだ二人は、「大きな森に東と西から入り込んで、迷った末に木々のない広場でばったり出会った。その広場は、共通の磁場であり、天と地のエネルギーが解け合った場でした」(加島あとがき)。火花が散ってはまた静まるような白熱の対話です。
あるがままに――
人を愛し、自然を愛する二人が、「いのち」の循環の輝きを見つめ、
人はどう生きるのかを語り合いました。
(この罫線も削る)
【二人が語ったこと】
◎ 西洋から東洋へ――そして統合へ
◎ 死は、大いなる循環の一つの変化に過ぎない
◎ 日常の社会生活のリズムから一歩出る
◎ リターニング――命は循環する
◎ 修理工をやめて庭師になろう
◎ アンチエイジングよりもエイジング
◎ 居場所――内なる生命エナジーをつかむ
◎ 「比較」と「競争」から自由になる
◎ ホームカミング――大きな世界に帰る

対話は、始終柔らかな空気ですが、ときおり鋭い太刀風が混じり、のっぴきならないテーマが出現します。老子は、博覧強記の突っ込みをやんわりかわし、もっと鋭い太刀を浴びせます。太刀風は、84歳が71歳を圧倒していたかもしれません。

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50名の読者へプレゼント
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そういう次第で、また読者プレゼントです。
『静けさに帰る』
をお読みになりたい方は、下記宛お申し込み下さい。無料でプレゼントです。
条件は、アマゾン等々に感想文を書いていただくこと(その原稿を風雲舎の宣伝コピーに使わせていただくかもしれません)。

申し込みはmail@fuun-sha.co.jp風雲斎まで。
締め切りは11月25日。到着順に50名様にすぐ送ります。ではではどうぞ宜しく。
今回もお読み下さってありがとうございます。(11月19日) 風雲斎