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風雲斎のひとりごと No.38(2012.7.23)
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このメールマガジンは、これまで風雲舎とご縁のあった方々に
発信しております。よろしければご一瞥下さい。
不要の方は、お手数ですがその旨ご一報下さい。
送信リストからはずします。
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『麹のちから!』
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という本ができました。
麹博士の手による、麹についてのバイブル、のような一冊です。
著者は山元正博さん。通称ゲンさん。
九州は鹿児島、100年続く麹屋の3代目。
頭のてっぺんからつま先まで、麹まみれで育った麹博士。
おじいさんは“麹の神様”、お父さんは“焼酎の神様”と呼ばれる
麹一家の跡取り。東大農学部出の農学博士。かつ、薬丸自顕流の師範。
文武両道をこなす、気合の入った薩摩隼人です。
迫登茂子さんという風雲斎の師匠がいらっしゃいますが、
ゲンさんはその一番弟子というか、長男みたいな存在。
時あたかも麹ブーム。
いや、ちょっと盛りを過ぎたかな—?
でもね、真打はいちばん最後に登場するといいますね。
あれです。
麹は食べ物を美味しくするだけじゃないよ、すごいちからがあるんだよと、
楽しい麹の入門書を書いてくれました。
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麹は、食べ物を美味しくする
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ゲンさんの言いたいことはとてもはっきりしています。
麹は、食べ物を美味しくする–。まずこれです。
●たとえばお漬物。大根、白菜、キャベツ、きゅうりなどをよく洗い、
目分量で10分に1ほどの塩麹を入れて揉む→ジッパーつきの袋など
でなるべく真空状態に→冷蔵庫でひと晩寝かせる→あっという間に
美味しいお漬物ができる。塩麹を入れると、麹菌そのものにある
乳酸菌の成長を促す酵素が働いて、それが乳酸菌を増殖させること
で、うま味が出てくるというわけです。
●お米に塩麹を入れて炊く→メチャメチャご飯がうまくなる→米粒
の照りがちがう→塩おにぎりの味。
●刺身を美味しく食べる→塩麹を塗るだけ→ものの5分でうま味が
バーッと溶け出す。使用前と使用後の違いを感じてみる。
●食べ残しのお刺身。塩麹に漬け込んで冷蔵庫にひと晩→翌朝ホカ
ホカご飯の上にのせてお湯をかけて食う→最高のお茶漬け。杜氏さん
流の食べ方。
●たとえばポークソティ用のお肉。塩麹に漬けてひと晩冷蔵庫で寝か
せる。これはうまい。調味料も何もいらない。ケモノ臭さが消える。
●豆腐を塩麹の中に漬ける→豆腐の水分が外に出て塩麹の酵素が豆腐
の中に→酵素が豆腐のタンパク質を分解してアミノ酸を出す→豆腐が
きゅっと締まり、最後は高野豆腐状に変わる→酒のつまみ。
●たまごの黄身を塩麹に漬ける→半熟状に。まったりとした黄身、
うっすら塩味。これは逸品。
——-こんな具合です。
でもこれはもう皆さんがご存じのことかもしれませんね。
では次は?
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ホンモノの塩麹をとっていますか
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ブームのあおりで、残念なことには、いい加減な塩麹が出回っているの
だそうです。酵素の力がなくなった塩麹、これはニセモノです。だから
早期熟成の甘い塩麹はダメ。タンパク分解酵素が壊れているから。常温で
時間をかけて発酵させた塩麹がベスト。理由は、酵素の力が強いから。
舐めて甘い塩麹はダメ。結局、信頼できるメーカーのものを使う。
具体的にはどうしたらいい?
塩麹は自分でつくるがいちばん。水を加える以前の塩麹を買って、自分
で水を加えて発酵させる。これがベストだそうです。
麹にはこんな力もあります。
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麹で健康になる
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●歯ブラシに塩麹をちょっと塗って歯を磨く。歯についた有機物を塩麹
の酵素が分解してくれる。抗酸化作用で歯周病の予防にもなる。ただし
磨いた後は、ちゃんとすすぐ●これは風雲斎もやってみました。ある夜、
治療中の歯が痛みだし、これを思い出してやってみたのです。効果は
テキメンでした。ズキズキが消え、患部の2本が以前よりしっかりした
ようです●更年期障害。更年期(「チェンジ・オブ・ライフ」)とは、
人生の変わり目に現われる心身の不具合、ですね。麹に含まれている
ある物質(ブトキシブチルアルコール・BBA)がストレスホルモンの分泌
を抑えることがわかり、ゲンさんは「麹ニンニク」をつくって、悩んで
いた奥さんに飲ませた。すると更年期障害がケロッと消えたそうです。
頭痛も●焼酎杜氏はがんにならないそうです→もろみ(焼酎原液)を毎日
ぺロリと舐めているから→それにヒントを得て「前立腺の友」という
ドリンク剤をつくった。以来、社員みんながインフルエンザに負けなく
なった。前立腺がんが消えた、咽頭ポリープが消えたというような例証が
出てきました●面白いのが、本格派のマッコリ。あちこちでマッコリが
販売されています。ゲンさんも何度かそれを飲んでみたが、一度もうまい
と思ったことはなかった●マッコリとは本来、米や小麦を使って麹をつくり、
それに酵母と乳酸菌を加えてアルコール発酵をさせたもの。「麹、酵母、
乳酸菌が渾然一体となっている韓国風どぶろく」。市販のマッコリにびっく
りして、こんなもんじゃないと造ったのが「源一郎さんのマッコリ」。
●大事なことは、酵母が生きているので味はどんどん変わっていくこと。
できたてのマッコリはアルコール分2%程度の甘みの強い飲み物。日を置く
に従ってだんだん酵母によるアルコール発酵が進み、甘味が減り、
1〜2週間でアルコール分8%程度の酸味の強いお酒に変わっていく。
発酵の過程で異なる味わいを楽しむ–それがマッコリを飲む醍醐味。
便秘になりにくく、朝のお通じが良くなる。肌がツヤツヤになる。これで
花粉症も撃退したそうです●つまり麹には、酸化を防いで老化を抑える
「還元作用」、免疫抵抗力を強化する力、消化促進、腸内菌を健康にする、
メタボ改善効果、デトックス(解毒)作用などがあるそうです。
まだあります。
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環境を浄化する
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こんな具合です●レストランの排油を分解する●浄化槽の悪臭を消す●排水浄化
●養豚場の悪臭を消す●健康な家畜を育てる●「完熟堆肥」をつくる●食品リサ
イクル、理想的な「リサイクル・ループ」をつくる●家畜の屎尿と化学物質で汚染
された大地を、麹菌が見事に浄化してくれるそうです。
最後がこれ。
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ストレスをとる
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麹の持つ最大の力は、ストレスをとる–これではないかというのがゲンさんの
言です。
●ストレスは万病のもと、ですね●ある動物実験で、ゲンさんは「麹菌が脳の
下垂体に作用してストレスホルモンの分泌を抑制する」という事実を発見しま
した。その正体は、麹菌の出すブトキシブチルアルコールでした●ストレスが
かかると動物は必要以上に食べます。「ストレス太り」は人間も同じ。
ストレスホルモンの分泌を抑制する–。これは人間にも適用できるのではないか。
――これが著者のたどり着いた地点です。ゲンさんはその研究を続けています。
ゲンさんが言いたいことは、
いつでもどこでも、麹のある暮らしの薦めです。
同時に、麹は、食べ物を美味しくするだけじゃないですよ、
もっとすごい、奥の深い力がある、それをちょっと覗いてみてください――と。
『麹のちから!』—-麹は天才です—-
ISBN978-4-938939-69-4
風雲舎刊 7月25日発売 定価(本体1429円+税)
●朝日、読売、日経などに新聞広告が出ます。
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ここまでお付き合いくださって、ありがとうございます。
2012・7・23 風雲斎(今号おわり)