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風雲斎のひとりごと No.70(2017.5.29)
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このメールマガジンは、これまで風雲舎とご縁のあった方々に発信して
おります。よろしければご一瞥下さい。ご不要の方は、お手数ですが
その旨ご一報下さい。送信リストから外します。

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あなたの脳血管、大丈夫?
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脳梗塞、脳出血、クモ膜下――こんな病名をよく耳にするように
なりました。ここ数年来、親しい人が、脳梗塞、脳出血、クモ膜
下で倒れたというニュースが多くなりました。そういえば、その
後遺症を抱えた人が目につきます。いや、他人ごとではなく、ぼ
く自身、めまいやふらつきを感じることがよくあるのです。

金澤先生という脳血管の名医がいると聞きました。
行ってみました。ぼくは出版屋ですから、ただでは行きません。
著書を読み、周りを調べ、できたら「先生、本を書きませんか」
という下心をもって出かけます。

検査です。がーがーうるさいのですが、まあ、我慢できないほどで
はありません。案の定、脳血管に狭窄が多々見られるとのこと。
70歳過ぎなら当たり前のことだ、放っておくと、脳梗塞に進むこと
もあるというご診断です。
しばらく通院で点滴治療をしてもらったのですが、ぼくの勝手な都
合で3カ月後、半年後と通院がルーズになります。やはり入院がい
いと先生がおっしゃるので、10日間の入院です。まるっきり会社に
出ないわけにいかないので、入院とはいえ朝の点滴治療を終えたら、
午前10時から夕刻5時までの外出許可をもらい(特別)入院通勤です。

金澤先生のご専門は未病(まだ起こしていないがその可能性のある
予備軍)への予備治療です。ぼくが金澤先生に投げたテーマは
「脳梗塞を起こした人はどうしたらいいか」というものです。だか
ら、その間にちょっとギャップがあります。

先生はぼくの問いをちゃんと受けてくださいました。
患者さんのデータを調べ、それを整理して、未病だけでなく、脳梗
塞を発病した人への対応はこうすればいいという観点で原稿を書き
起こしてくださったのです。2年がかりです。

できたのが、
『よかった、脳梗塞からの回復!』
(ISBN978-4-938939-89-2)
という本です(5月末発売)。

かんたんに言うと――、
人体の血管の長さはおよそ10万キロ。地球を2周半する長さ。血液
は血管の中を時速216キロというものすごいスピードで心臓から送
り出され、その圧力が血管にもろにかかるそうです。脳の血管が詰ま
り(狭窄)、その先に血液が運ばれなくなると、脳梗塞となる。
その狭窄した脳血管を若返らせ、広げ、血流を良くするのが金澤先生
の療法、「金澤点滴療法」です。通常、10日間の入院で点滴治療を行
ない、脳梗塞の改善・回復を目指すのです。

一度詰まった血管は元に戻ることはありません。その先の死んだ細胞
が蘇ることは決してないそうです。
しかし、この点滴療法をすると、脳全体の血流が良くなり、機能が回
復することがあるそうです。動かなかった手足が動いたり、出なかっ
た言葉が出るようになるなどの効果が現われるというのです。回復率
83%(何らかの改善を得た)--これはすごい数字だそうです。

こんな具合です。
ヨタヨタ歩きが、まっすぐ歩けるようになった 手足のしびれが消
え、歩行困難が良くなった 言葉が出るようになり、手も上がるよう
になった 左半身の不随、視力低下からの回復 スタスタ歩けるよう
になった 弱っていた握力が元に戻り、歩行も楽になった 顔の歪み
が戻り、動かなかった左手が動くようになった うつ状態がなくなり、
気力が出て、歩くのが楽になった 25年前に脳梗塞と診断された。
この療法で、動かなかった右手が上がり、左足もスムーズに動くよう
になった。趣味の射撃に復帰した。

ぼくはこの本を、2年ほど前に脳出血で倒れ、いまだに口もきけない、
歩くのもままならない盛岡の後輩、クモ膜下の女性、「もうおれはだめ
だ」と嘆いている仕事仲間、仲良しのある大学教授、高校の同級生など
に真っ先に送ります。結構多くの人がこの脳疾患で困っています。
お近くにそういう人がいたら、点滴療法のことを教えてください。

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あの子、どうしたかな?
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某月某日午後2時過ぎ。川越の帯津三敬病院に行こうと、埼京線・池袋
のホーム。快速の時間にはちょっと早め。人はまばら、ホームで椅子を
探した。北端から始めて最南端まで、ない、ない、やっとあった。新宿
寄りの最南端にやっとあった。JRは怠慢だね。じいさん、ばあさん、
妊婦などをどう思っているのだろう。
ちょっと気になる女性がいた。30代ぐらいか、フードをかぶり手提げを
持っている。その挙動が人目を惹く。ふーん、何か異常です。
どうしたんだろう?

最後尾で快速を待った。電車の開口部に数人ぐらいが並んでいる。開口
部とつぎの開口部の真ん中に、フードをかぶったさっきの女性が線路
ぎりぎりに立っている。バッグもぎりぎりに置いてある。まるで飛び込
みます―という風情。へんだなと思っていると、ぼくの前列にいた若い
紳士がつつっと彼女のそばに寄って声かけた。「危ないよ」とでも注意
したのだろうか。でも彼女は動かない。駅のアナウンスがひときわ大き
く「下がりなさい」と怒鳴ると同時に、くだんの紳士が再度彼女に寄っ
て注意した。電車が入ってきた。彼女はそのままその場に崩れた。
乗り込んで車内から彼女を見ると、崩れたまま、泣いていた。
……飛び込みたかったのだろうか!

これには落ちがある。
その夜、山手線で通勤している娘からの電話。
「もう、また山手線が動かなくって。人身事故だって。会社から歩い
ちゃった……」と。
ドキッとした。
あの子、どうしたかな?

(お詫び)
これまでメル友からのご注文には、「定価の10%引き」+「送料の風雲舎負担」でした。
2017・6・1より、これを「送料のみ風雲舎負担」とすることをお許しください。
つまり送料は無料です。運送費関連の値上げがその理由です。
どうぞお許しください。よろしくお願いいたします。

(今号終わり。ありがとうございます。2017・5・28 風雲斎)