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風雲斎のひとりごと No.59(2015.10.24)
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このメールマガジンは、これまで風雲舎とご縁のあった方々に発信して
おります。よろしければご一瞥下さい。ご不要の方は、お手数ですが
その旨ご一報下さい。送信リストから外します。

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歩く
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仕事を終えて、1時間から1時間半ほど歩く。
コースに事欠かない。会社は、東京のど真ん中にある。
思いつくまま、目白、池袋と歩く。
いちばん近いのが高田馬場。ここだと40分ぐらい。
目白駅までは50分。池袋は1時間。
ちょっと足を伸ばして上野まで2時間。東京駅も同じぐらい。
品川まで足を伸す元気はない。3時間ぐらいかかりそうだから。

汗びっしょりになる。だから、背広はダメ。
ラフな格好で、タオルと飲み水、それに低血糖用にアメかブドウ糖を
リュックに放り込む。いやになったらいつでもタクシーを拾う。
ムリして最後までとは思わず、のんびり、急がず、姿勢を正して歩く。

目的は、体内のエントロピーを捨てること。とりわけ糖分というそれ。
糖尿病10年の風雲斎にとっては、糖の過剰が大敵。
これまで散々あれこれの療法をトライしてきたが、うまくいかない。
炭水化物ゼロに挑戦したこともあったが、完遂できなかった。
やはりメシはうまい。

この宿痾と長く付き合うには、覚悟と備えが必要だ。
歩きはじめて、2ヵ月ぐらいで、変化が出た。
体重が減り、身体が軽くなった。
さて、うまく継続できるかどうか?

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読む
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飲み屋通いが減った分、本を読む機会が増えた。
この夏、中島敦全集3巻をあらまし読んだ。
33歳で亡くなった天才作家。宮澤賢治と並び称される双璧だと言う人も
いる。『山月記』『李陵』『弟子』『名人伝』など、懐かしく、何十年ぶり
にその意味をかみしめながら再読した。初めて読んだ『光と風と夢』が
良かった。

次いで、芹沢光治良を夢中になって読んだ。
天理教の教祖・中山みきの生涯を描いた『親神様』を一読。
これを読んでいると、教祖中山みきの息吹がじかに響いてくるような
錯覚を覚える。
この後、「神の微笑」シリーズに進んだが、やはり『人間の運命』を読
まなければならないとわかって、第一部(全6巻)同第二部(全6巻)
同第三部(3巻)を読了。15巻に及ぶ膨大な自伝小説。

東山魁夷の『唐招提寺への道』はすごかった。
こんな名文を読まずに死んだら、ずいぶん悔いが残っただろう。
『馬車よ、ゆっくり走れ』『日本の美を求めて』もすごい。
画家がこんな文章を書くとは!

妻の母の一回忌で花巻に行く。集った近親の声が心地良い。
生活共同体、原郷(パトリ)という言葉が生きてくる。
その足で、脳出血で倒れた教え子のみまいに盛岡に足を伸ばす。
ついでに県立美術館の船越保武の作品を覗く。船越の『石と瞑想』と
いう絵とエッセイ集にあった「ダミアン神父」と、石川啄木の彫像を
見たかったから。船越の名エッセイにこころ打たれ記憶がずっと残って
いたのだ。啄木は展示していなかった。それでも充分堪能した。
それにしても画家たちの文章のすばらしさ!

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『遺伝子スイッチ・オンの奇跡』——という近刊
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サブタイトルが——
「ありがとう」を10万回唱えたら、ガンが消えました!
と付けました。風雲舎の10月刊。
著者は、「余命一カ月」と宣告された主婦・工藤房美さん。
(定価1400円+税 ISBN978-4-938939-83-0)

むろん実話です。
●「手術はムリです、余命1ヵ月」と告げられた著者は呆然自失して
いました●その病床へ『生命の暗号』(村上和雄著)という一冊の本が
届きます。一読して、著者は驚きました●いちばん驚いたのは、「人間の
遺伝子のうち、実際に働いているのは全体のわずか5パーセント程度で、
その他の部分はまだよくわかっていない」というところです●これを読
んだとき、著者は、それなら……と閃きます。眠っている残り95パー
セントの遺伝子が目を覚ましてオンになったら、私だって少しは良くな
るに違いない……そう思いついた瞬間、「ばんざーい!」と叫んでいまし
た。病床で、真夜中の2時過ぎです●まず病んでいない目、鼻、耳、
その他の臓器の細胞に「これまで私を支えてくれてありがとう」とお礼
を言います。「あなただってこれまで支えてくれたのだから」と、ガン細胞
にも「ありがとう」と感謝を伝えます●ガンが消えてなくなるようにと
祈ったのではないのです●10ヵ月後、ガンはすっかり消えていました。

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著者のこと
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風雲舎の集まりによく参加して下さる木下供美さんというご婦人がいます。
三人の子どもさんを連れて、保江邦夫先生、並木良和さんの集会などに
わざわざ宮崎県からお出でになるのです。航空費、ホテル代を入れると、
大変なご出費だろうと、いつもぼくは思っていました。

その木下さんから、ある日、電話がありました。
仲良しのいとこの原稿をぜひ風雲舎から出版したいというのです。鹿児島に
所用で出向いた際に、木下さんとご一緒に、その著者の工藤房美さんに会い、
直にお話を伺いました。
「え、まさか……」と、その内容にびっくりしました。

工藤さんは子宮ガンと宣告され、あれこれ治療を受けますが、打つ手がなく、
とうとう最後に「余命一ヵ月です」と告げられます。息子たちに遺書をした
ため、衣類や靴を整理して、静かにその準備を整えています。そこに
『生命の暗号』という村上和雄先生の著書が届きました。それを読んで、
彼女は頭をぶんなぐられるような衝撃を受けます。

そこにあったのが上の、「人間の遺伝子のうち、実際に働いているのは全体の
わずか5パーセント程度で、その他の部分はまだよくわかっていない」という
文章です。彼女はその部分を読み、こう閃いたのです。
「それなら眠っている残りの95パーセントの遺伝子が目を覚ましてオンに
なったら、私だって少しは良くなるに違いない……そう気づいた瞬間、
『ばんざーい!』と大きな声で叫んでいました」

彼女は、遺伝子がスイッチ・オンになる方法——「ありがとう」という感謝
の言葉をおよそ10万回ぐらい唱えました。まずは身体の元気な部分に、次いで
ガン細胞に「ありがとう」をくり返しました。10ヵ月後、なんだかとても
身体が軽く、とても調子がいいのです●検査の結果、ガンはきれいに消えてい
ました。本当の話です。

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著者と村上和雄先生
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オーバーに言えば、村上先生の本が彼女を救ったことになります。
著者・村上和雄先生(筑波大学名誉教授)にお尋ねすると、
「ああ、彼女のことはよく覚えているよ」と、序文を寄せてくださいま
した。以下の文章です。

〜「我を忘れる深い祈り」は、眠っている潜在的な力を呼び起こす。
自分の奥深くまで届くような“我を忘れる深い祈り”は、遺伝子のオン・
オフの働きを呼び起こすことができるはずです。心の底からの願いは自我
レベルにはないのです。つまり、奥にある本当の自分(真我=アートマン)
に働きかければ、眠っている潜在的な力を発揮できる、というのが私の
考えです。彼女は素直な心で、それを実行してくれたのです。(村上和雄)

……いい文章ですね。

こうして工藤さんは無事に生還しました。この後、彼女は村上先生に手紙
を書き、大ファンになり、先生の本を読みつくし、二人は仲良しになります。

生還後のある日、夢の中に、「自分だけ治ったからって、それでいいの?」と
いう言葉が降りてきました。
おまけの人生、これまでの暮らしではいけない——。
彼女は村上先生の本で読んだ「遺伝子が喜ぶ暮らし」をしようと、それまで
の仕事を辞め、知り合いのネパール人の求めに応じて、カレー屋さんを開業
します。お金のためではなく、調和のある暮らしを選択したのです。
ガン闘病中に、彼女は大きなものの存在に気づいたのです。村上先生の言う
「サムシング・グレート」の存在に気づいたのです。
このあたりもすてきなお話が続きます。

ちなみにこの本を書いたのは、木下さんです。彼女は「房美ねえちゃんの
経験をどうしてもみんなに伝えなくてはならない」と、工藤さんの心の中
を聞き、その一つひとつを文章にしたのです。すばらしい出来です。

工藤さん、木下さん、それに村上先生、ありがとうございます。
編集していて、こころが温かくなりました。では、本文をどうぞ。
今月末に店頭に並びます。ぜひご覧ください。(今号終わり)