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   風雲斎のひとりごと No.16 (2008.12.24)
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メメント・モリ(死を想え!)
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12月1日、兄貴が死んだ。76歳だった。
昭和7年7月7日生まれの兄貴は、いつも7という数字にこだわっていた。
できたら来年7月までがんばって、77歳で往生したかったのではないか。
仕事で京都にいた僕は、ちゃんとお別れをしていなかった。
でも兄貴とのお別れは、その2日前に済ませていた。早暁、夢うつつ、座敷の
片隅に兄貴が寝ていた。「あれ、豊ちゃんどうしたの?」と聞くと、何も言わず、
ただじっとこっちを見ていた。静かな、青い目だった。おかしいな、豊ちゃんは
病院のベッドのはずだ、とそこで気がついた。何だろうこの夢は? 女房を起こ
さないで居間で一時間ほどぼんやりした。兄貴はさよならを言いにきたのだろう
か。そうだ、あれはお別れだったのだ。

あとで気がついたが、あの目は、亡くなる直前のおふくろの目だった。
兄貴の目は、妻や子供の行く末のこと、金のこと、身過ぎ世過ぎのこと、悩みご
となど、一切合財を超越した深い目だった。高い上空にいて、下界をしずかに眺
めているような、きれいな澄んだ目だった。あのときもう、うんと高いところに
いたのだ。

それにしても、どうしてこんなに気持ちが騒ぐのだろう。
最後のお別れに行けなかったという不義理が僕を責めてくる。原稿を読んでも
テレビを見ても、想念がそこへ帰っていく。誰もいない部屋で、すまなかった、
ごめんな、とわびる。死というのは、肉体という衣を脱いで本来の姿(魂)に帰
ることに過ぎない――と考えても、僕の感情が、兄貴の生身のイメージから離れ
ず、わめき散らかしたいほど悲しんでいる。人が死ぬというのは、こんなに悲し
いものかと思っていたら、さっとやってきたものがある。「メメント・モリ」
(自分もいつか死ぬということを忘れるな!)だった。

メメント・モリ。これまで他人ごとだった死が、自分にも近づいている。今度は
おまえの番だと知れ――というほどの意味だろう。深い悲しみの原因はそれでは
ないか。それが人をおびやかし、悲しませるのだ。この歳になって、ひとつひと
つの出来事がとても意味深いと感じるようになったのは、たぶん、時間の区切り
を設けることで、自分の生をしっかり味わい、ちゃんと燃焼させなさいよという
サインなのだ。そう認識を変えてみると、感情が鋭敏に、うんと深くなったよう
な気がする。それが悲しみの正体なのだ。

逝った人たちのことを思う。この間、ずいぶん多くの人が去っていった。可愛が
ってくれた人、仲良しだった友人、憎しみが残ったままの人、恩人、先輩、
後輩……みんな、あんな目で逝ったのだろうか。そう祈りたい。もし輪廻転生が
あるなら、兄貴やおふくろや恩人の魂は再びこの地上に帰ってくるはずだ。いつ
かまた会える……そう考えるとちょっとホッとする。

この悲しみをどう癒すのか。
ずっと昔、幼くして逝ったわが長男を送るとき、親身に世話して下さった坊さん
に言われた説教がある。「嘆いているばかりではいけない。きみたちがこの世を
しっかり生きること、それが亡くなった者へのいちばんの供養なのだ」。なるほ
どそうだった。女房ともども、そんなふうに切り替えて悲しみをやり過ごしたの
だった。
兄貴は、わあわあ言いながらおもしろおかしく生きてきた愚弟に、そろそろ自分
の持ち時間も計算に入れてちゃんと生きろよ――と示してくれたのだ。
ありがとう、兄貴。またひとつ、大事なことを教えてもらったな。合掌。

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                           風雲斎 2008.12.24

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