いい場を創ろう
「いのちのエネルギー」を高めるために
帯津 良一

いい場を創ろう

発行年月日:2005/7
サイズ:四六版上製
コード: ISBN4-938939-38-X
定価:(本体1,500円+税)

本書の内容

目次

[1章] あれはいい場だった
[2章] 場とは何か
[3章] 場と医療
[4章] 場のコミュニケーション
[5章] 場のネットワーク
[6章] いい場を創ろう

帯津三敬病院HP → http://www.obitsusankei.or.jp/
日本ホリスティック医学HP → http://www.holistic-medicine.or.jp/

本書の内容

ダイジェスト版

故郷でいのちが甦った!

「3ヶ月ぐらい経った頃でしょうか、大島から電話がありました。毎日の忙しさに彼女のことも忘れかけていましたが、一瞬、亡くなったのだなと思いました。家族がその連絡をしてきたのだろうと受話器を取ったところ、なんと本人からの電話です。
「先生、こっちのアワビや伊勢エビがおいしいわよ」
などとのんきなことを言っています。その元気なことといったら、川越にいたときの比ではありません。常識ではとても考えられない回復ぶりでした。
そのときわたしは、彼女は念願の故郷に帰り、生れ育ったふるさとの空気に包まれ、子供のときから親しんできた青い海を見て「いのち」が甦ったのだと思いました」

難病だけが残った

「欧米先進国ではいま治りにくい病気だけが残っています。
がん、膠原病、アトピー性皮膚炎、エイズ……がそれです。
治りにくい病気だけが残るのは、それは西洋医学の範囲を超えた病気だからです。
あるいは、場の歪みに由来する病気だからです。

身体だけの故障であれば、機械の故障と同じように治すことができます。心筋梗塞などは、管が詰まった機械の故障と考えることができますから、機械を修理するようにして管の詰まったところの通りをよくすればいい、そうすれば治ります。
ところががんや膠原病といった病気は、場のエネルギーが落ちたり、場が歪んだりしたために起こる病気であるといえます。それは、機械の故障とは違います。

だからホリスティック医学には、
「修理工をやめて庭師になろう」
というスローガンがあります。機械を修理するようにして患者さんに向かうのではなく、木や草花に語りかけるようにして患者さんに絡んでいこうという意味です。庭師が一本一本の樹木の枝ぶりや葉のつき具合を見ながら手を入れていくように、医療者も患者さん一人一人と、「こころ」も「いのち」もひっくるめて全人的に対していこうということなのです」

いい場を創る5つの条件

1.いい食事
2.行法を身につける
(呼吸法でも太極拳でも座禅でも、何でもいい)
3.こころを循環させる
(人は悲しい→希望→ときめき→気持ちが前向きになる→だけど悲しい)
4.環境づくり
(悪口を言わない。他人をライバル視しないで戦友と見る)
5.死をいつも視野に入れて生きる(メメント・モリ)。

編集担当より

帯津良一医師ーーその表情はまさしく童顔。いつもニコニコ、まるまるしていて、名医の威厳といったものからはほど遠い。しかしある瞬間、この顔が、聖人のような、厳かな神々しさに輝く瞬間がある。遠くのものを見つめ、何か考えごとをしている時の表情だ。

この本は、難病からの脱出法あれこれではなく、医療者として帯津医師がずっと考え続けた究極の処方箋ーー「いい場を創ろう」がテーマだ。

それらを象徴するコピーが、帯の文章ーー「明日世界が滅びるとしても、今日、君はリンゴの木を植える」。M・ルターの言葉です。

面白いことに、この人とつき合っていると、(指図されたわけでもないのに)たとえばその辺に落ちているたばこの吸い殻を拾う、老人や弱いものに丁寧な対応をするーーついついそんな行動を取ってしまう。ふと気がつくと、こちらの心が静まり、穏やかになっている。この人は、不思議なフォースを使うのです。

このフォースの根源は(たぶん)、長いこと、いろいろな人々の死を見続けてきたことによるのではないか。偉い学者も、どんな金持ちも、どんな悪党も、あるとき死という厳粛なときを迎える。それを凝視してきた医師にとって、どんな正論も罵詈雑言も、たいしたことではないように見えるのではないか。

だから、悪口を言うな、他人を批判するな、と帯津医師はよくいいます。なかなか実行できることではありませんがませんが、何かとても大事そうなことです。いい場を創るというのは、こういうことの延長上にあるのかもしれません。

文中で帯津先生はこんな風にいっています。

いい場に身を置く

「Aさんのように、びっくりするほど回復する患者さんはほかにもいます。どうしてこんなによくなるのだろうと思いめぐらせてみると、共通事項があることに気がつきました。
それは、みんな、いい場に身をおいているということです。いい家庭、いい職場、いい医療の場、いい学びの場……に恵まれている。いのちのエネルギーを日々高めつづけている人たちが集まった場に身をおいて、そういう人たちとつき合っている。それが彼らのいのちを甦らせたのだと思います」

著者略歴

帯津良一(おびつ りょういち)

1936(昭和11)年、埼玉県生まれ。
東京大学医学部卒業後、東京大学付属病院第三外科、都立駒込病院外科部長などを歴任。
昭和57年より、郷里・埼玉県川越市に帯津三敬病院を設立、同院長。日本ホリスティック医学協会会長。

ガン医療に東洋医学をとり入れた中西医(ちゅうせいい)結合の段階を経て、医療の理想であるホリスティック医学の確立を目指す。 早朝、心を込めて気功し、昼は一生懸命に働き、そして晩酌で一日を感謝する「気功的人間」の暮らしを自ら実践する。

帯津三敬病院HP⇒http://www.obitsusankei.or.jp/