山形済生館病院初代院長
長谷川元良のこと
中村忠生

長谷川元良のこと

発行年月日:4月上旬発売
コード: ISBN978-4-938939-59-5
四六判並製 152ページ

定価:(本体1,500円+税)風雲舎

本書の内容

明治初期、激動の時代の流れを読み取って、いち早く西洋医学を学び、後輩を育て、地域医療に貢献した医師、それが長谷川元良である。長谷川は、山形市の西洋式の病院、「済生館」初代院長として建設の際に活躍した人物でもある。
著者の自宅に長谷川元良の書いた漢詩が残っていた。著者と長谷川は親戚であったことが判明して以来、著者は長谷川について調べていく。すると、激動のなかで薩長土肥の出身でもない長谷川が、自分の置かれた歴史的な環境のなかで営々たる努力をしていたことがわかった。長谷川元良の真剣な生き方に感銘を受けた著者の、長谷川元良とその関連人物等についてまとめた、自分のルーツを探る研究書。

目次より

第一章 山形に来着する前の長谷川元良
第二章 山形県公立病院の大増築計画
第三章 オーストリア人医学教師ローレツ
第四章 長谷川元良、山形での仕事

編集者より

明治初期、当時の人々は急激な西洋文化の流入で、さぞや驚き、混乱し、そして新しいものに期待したことでしょう。そんななか、人々が西洋から役立つものを すぐに取り入れる努力をしていたことに感心させられます。現代に生まれた者からみれば当たり前にあるものでも、当時の人々の努力があったからこそと思いま す。本文中、長谷川元良が佐渡で英語学校を開く際、教科書の作成を工夫する場面があります。何より、英語の必要性を考え、佐渡の若者たちに英語をなんとか して教授しようとする意気込みが感じられました。
歴史を紐解くと、さまざまな発見があると思います。ただし、資料が豊富でない場合、その作業は大変なものです。しかし著者は、「遠縁にあたる人物のイメージを造形していく作業は楽しかった」とあります。著者の気持ちに、さわやかさを感じた編集者でありました。